先日、プロ野球界の至宝、野村克也さん(84歳)が一人暮らしの自宅で虚血性心不全で亡くなられました。自宅の風呂場でうなだれているところを家政婦が見つけ、病院に搬送されましたが間に合わなかったようです。
その少し前、同じように一人暮らしをしていた歌手の梓みちよさん(76歳)も、自宅のベッドの上で冷たくなっているところをマネジャーに発見されています。さらに、1月末に亡くなった宍戸錠さん(86歳)も、自宅で倒れているところを親族が見つけ、救急車が呼ばれましたが、救急隊が駆け付けたときにはすでに亡くなっていたといいます。いずれも一人暮らしで、いわゆる孤独死でした。
一人暮らしの高齢者が増えている
孤独死については、だいぶ前から問題になり、一人暮らしの高齢者について「独居老人」という言葉も使われてきました。そのため、孤独死には、社会的に孤立した身寄りのない不幸な独居老人が、誰からも 看取 られずに死んでいくというイメージがあります。
実際、統計データを見ると、65歳以上の一人暮らし高齢者の人数は、1980年には約88万人でしたが、2015年には約592万人と大幅に増えています。この人数は今後ますます増え、40年には約896万人にまで増えると予想されています。一人暮らしの高齢者は、とくに女性が多く、男性の倍になるとされています(内閣府「令和元年版高齢社会白書」)。
孤独死は心疾患や脳疾患が多い
医師の目から見ると、孤独死で問題だと思うのは、亡くならなくてもいい方が亡くなっていることです。とくに最近は、死後数日から、長いと1か月以上もかかって発見されるケースがあり、後から調べると、なんらかの疾患になったとき、周囲に助けを求めれば助かっていたと思えることが多いのです。
孤独死を扱ってきた医者によると、ほとんどのケースは、心疾患か脳疾患が死因です。心筋 梗塞 や脳卒中の発作で倒れ、そのままということです。なかには、部屋のなかで転倒して助けを呼べず、そのまま衰弱死したというケースもあります。肺炎になってそのままというケースも、肝硬変で意識不明になってそのままというケースもあります。いずれも、相当な高齢な方でなければ、まだまだ生きられたはずなのです。
また、発見後、「変死」扱いとなり、遺体発見以降の周辺調査や「検死」や「司法解剖」などによって死因を特定しなければならないという別の問題もあります。さらに、本当に身寄りがない方の場合、埋葬や遺品整理など行政の手間がかかることなどもあります。
望んで一人暮らしをする人も多い
ただ、高齢者の一人暮らしが問題かと言うと、そうではありません。望んで一人暮らしをする方、一人暮らしに満足されている方も多いからです。
内閣府の調査によると、一人暮らしをしている高齢の方のうち、78.7%が「現在の自分の生活に満足している」と、さらに76.3%が「今のまま一人暮らしでよい」と回答しています。(「平成26年度 一人暮らし高齢者に関する意識調査」)
回答者の男女比は1対2で女性が多く、年齢は65歳から80歳以上までですが、元気な一人暮らしの方が多いのです。こういった方のなかには、お子さんが同居を受け入れてくれても、「子供の世話にはなりたくない」と、あえて一人暮らしを選ぶ方もいます。また、老後の一人暮らしの気ままさ、趣味生活を楽しむ方も多いのです。
もちろん、それは余裕があってのことで、年金だけで孤独な一人暮らしを余儀なくされている方もいます。
有名人は一人暮らしでも孤独ではない
有名人の方の場合、一人暮らしをされていても、仕事をしている方のほうが多いので、孤独ということはありません。野村さんも、つい最近までイベントに出たり、テレビで野球解説をされたりしていました。また、梓みちよさんも、通販番組や歌番組に出演し、まだ新曲を出したいと言っていたと言います。宍戸錠さんも映画出演はなくなりましたが、地元の仙川では庶民的な顔を見せ、地元の方々と近所付き合いを楽しんでいたと言います。
喪失感を抱えた人たち
ただし、3人の方々は、「喪失感」を抱えていました。野村さんの場合、2年前に愛妻の沙知代さんが亡くなられてから「さびしい」と周囲にしきりにもらしていたと言います。梓さんの場合は、昨年5月に愛犬を失い落ち込んでいたようです。宍戸さんは、10年前に約50年連れ添った妻・游子さん(享年77)を亡くし、さらに、その翌年には愛犬のシェパードを失っています。
大切なものを亡くした喪失感は、年をとればとるほど身にこたえます。そういう意味では、やはり、孤独死と言えるかもしれません。
社会的な死を避ける
私は、人間の死は、ふた通りあると考えています。「社会的な死」と「動物としての死」です。人間は「社会的動物」と言われるように、家族と社会(共同体)のなかでしか生きられません。家族や共同体とのつながりがあるから生きているのです。これが失われた時に訪れるのが社会的な死で、動物としての死は、いわゆる生命の終わり、医学的な死のことです。
アメリカで75年間にわたって724人のアメリカ人の人生を追跡した調査研究があります。この調査研究を発表したロバート・ワルディンガー氏は、調査から判明したことを次のようにまとめています。
1、家族や友人、地域と結ばれた人々は、そうでない人々よりもより幸福、健康、長寿である。孤独は命を縮める。
2、親しい人たちとの関係の質が重要である。家族や友人がいても争い事があれば、健康によくない。
3、 よいつながりは身体的健康のみならず、脳にもよい。困った時に頼れる人がそばにいると、記憶力も長く維持できる。
つまり、長生きを望むなら、一人暮らしをしても家族、友人、社会とのつながりをなくしてはいけないのです。本当の孤独死をしないためには、これがいちばん重要なことです。(富家孝、医師)
"有名人" - Google ニュース
February 24, 2020 at 03:20AM
https://ift.tt/2un3S7q
次々と“孤独死”する有名人……しかし、一人暮らしだから孤独というわけではない - 読売新聞
"有名人" - Google ニュース
https://ift.tt/2QiOdyy
Shoes Man Tutorial
Pos News Update
Meme Update
Korean Entertainment News
Japan News Update
Bagikan Berita Ini
0 Response to "次々と“孤独死”する有名人……しかし、一人暮らしだから孤独というわけではない - 読売新聞"
Post a Comment