東京電力福島第1原子力発電所事故を巡り、同社の株主らが旧経営陣5人に計22兆円を東電に支払うよう求めた訴訟で、東京地裁は13日、旧経営陣4人の責任を認め、計13兆3210億円を東電に対して支払うよう命じる判決を言い渡した。事故の安全対策を巡り、東電の旧経営陣の個人責任が認められたのは初めて。賠償額として国内史上最高額。
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訴訟は事故翌年の2012年3月に東電の株主らが当時の経営陣らを相手に起こした。その後、国が見積もった廃炉や被災者への賠償などを加え、請求額を事故処理費用と同水準の22兆円に増額。請求額は国内の訴訟で過去最高額となった。
訴訟での争点は政府機関が02年に公表した地震予測「長期評価」に基づいて巨大津波を予見することが可能だったかや、防潮堤や浸水対策などで事故を防ぐことができたかどうかだった。
株主側は「長期評価は科学的に十分信用できる見解だった。経営陣らが重要設備の津波対策工事を怠ったため、事故が起きた」と主張。旧経営陣側は「長期評価は信頼性に欠け、予見できなかった」として予見可能性を否定し、事故対策についても「社会通念的に見て、安全な水準は維持できていた」などとして賠償責任はないと反論していた。
21年10月には、審理を担当した裁判長らが第1原発の敷地内を視察。事故が起きた1~4号機を含む全6機を対象に、津波で浸水した主要設備などを確認していた。
原発事故を巡っては、事故で避難した住民らが国に損害賠償を求めた4件の集団訴訟で、最高裁が今年6月、国が東電に安全対策を命じても事故を防げなかった可能性が高いと判断し、国の賠償責任を否定する判決を言い渡した。判決理由では巨大津波の到来についての予見可能性については判断していなかった。
刑事裁判では、勝俣恒久元会長(82)や武黒一郎元副社長(76)、武藤栄元副社長(72)が業務上過失致死傷罪で強制起訴された控訴審も23年1月に判決が予定されている。この裁判でも長期評価に基づく事故の予見可能性や、対策を取ることで事故が回避できたかどうかが争われている。
▼株主代表訴訟 会社側が役員の法的責任を追及しない場合、株主が代わって訴えを起こす制度。会社法の規定に沿って、株主が損害の回復を求め、会社に賠償をするよう請求することができる。過去の賠償額では旧大和銀行(現りそな銀行)ニューヨーク支店の巨額損失で7億7500万ドル(当時のレートで約830億円)の支払いを命じた大阪地裁判決(大阪高裁で2億5千万円で和解)が最高。
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